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いつものように自己嫌悪に陥り、自問自答をしながら路地裏を通り抜けて、帰路についていると、帰り道の公園で声をかけられた。
「よぉ、お嬢さん。 こんな時間に出歩くなんざ危ないぜ」
やけに陽気な声、だけど私は無視を決め込む。
この公園はこの時間に通ると、援交目当ての男によく声をかけられるからだ。
「ツレねぇなぁ」
遠回りをして男を避けようとするけど、私のあとを追って来た男に肩を掴まれて振り返る。
「しつこっ……!」
さっきまで嫌に明るい場所にいたのもあるけれど、わずかな街頭の光が逆光になっていて顔が見えない、視界に映ったのは恐らく男の胸板のあたり。
ネクタイの結び目が私の目線よりちょっと上にある、私は数歩後ろに下がり男を見上げて驚いた。
顔はよく見えないけど、180cm以上くらいかな…かなり背が高い上に恰幅が良い。
私が男の背の高さに圧倒されていると、ほぼ頭上からお腹に響くほど低い声が発せられた。
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