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「アナタに契約結婚を持ちかけたアレウス様とは深く関わらない方が良いですよ。 アナタはあのお方を知らなさすぎる」
「あの。 意味が解らないんですが?」
淡々と喋るジンさんに私は困惑する。
関わりたくはないが、私も母さんの為にレヴァンとの契約は逃せないのだ。
「お母さんの治療費の為に危ない橋を渡りすぎだと言ってるんですよ」
何だか母さんの命を軽く見られているようで私はムッとする。
少しカチンときた。
「…お言葉ですけど、私は母が大事なんです! 苦労して私を育ててくれた母の為なら何だってします!」
私は身を乗り出してジンさんに抗議する、だけどジンさんの反応は怖いくらいになく、真顔を保っている。
「ならばお母さんの為なら殺しは出来るんですか?」
「…それはっ…」
「出来ないのですか?」
「当たり前じゃないですか。 人を殺すなんてできません!」
私の言葉のあと少し沈黙が流れた。
すると事もあろうがジンさんは、どこか不自然にクスクスと笑い始める。
「なっ、何が可笑しいんですかっ!」
私はカッとなって声を荒げてジンさんに凄んだ。
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