■第9話 ジンの忠告

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  「いや、失礼。 …ならアナタはなおのこと、アレウス様とは離れた方が良い。 …良いですかぁ?」 ジンさんは自分の膝に置いていたノートパソコンを棚に置き、座る向きや体勢を変えて改めて私と対峙した。 「マフィアは人を殺します、しかもえげつない方法で。 僕もアナタが会ったシグルドさんも。 アレウス様も…」 ジンさんの口調はやけにゆったりだ。 まるで私に理解させようとしているみたいに。 「アレウス様なんて特にそうです。 産まれたばかりの赤ん坊も、年老いて歩けない老人も…あの方は必要とあらば何も躊躇わず命を奪うでしょう。 実際、僕も目の前で見てますからね、アレウス様が人を殺すところを」 ジンさんはゆっくり、ゆっくりと私が聞き取りやすいように話を続ける。 「裏社会の中でもアレウス様や僕達は特別です。 アナタが蚊を殺す感覚と僕達が仕事で人を殺める感覚は同じ。 なにも感じないのです」 「……………」 「アレウス様は裏社会で何と呼ばれているかご存知ですか?」 私はジンさんの問い掛けに首を左右に振った。 「"裏"の世の更なる"闇"すら統治する絶対的存在…"裏闇(りあん))の帝王"。 裏の住人達にとっては神より尊き存在です」 「神より尊き存在、裏闇の…帝王…」 私が復唱するとジンさんはゆっくり、深く一度だけ頷いた。  
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