5493人が本棚に入れています
本棚に追加
「…っ…!」
私は直ぐに踵を返して開いている玄関に向かった。
だけどそれは難なく阻止される、アレウスに腕を掴まれてしまった。
「いっ…放して!」
「俺がどれほど心配したと思ってる!」
「…えっ…」
私は腕を掴まれた痛みに顔が少し歪み声を荒げる、だけどアレウスは私より大きな声をあげた。
「泣きたそうな声でいきなり電話を切りやがって…! 何かあったかと思ったじゃねぇか!」
アレウスを見れない。
アレウスが恐いのと…私を気にかけてくれたアレウスを恐がっている申し訳なささ。
アレウスの顔なんて見れないよ。
「…まぁ、生きてて良かった。 何があったか話してくれ、俺の本名をどうやってジンに教えてもらったのかもな」
「…ジンに教えてもらった…?」
まさかの言葉に顔を上げた、そこには若干イラついているアレウスの顔。
「…俺も馬鹿じゃない。 お前が電話に出なくて困ってるとアイツから電話がかかって来てな、意味深な言葉を吐きやがった。 …アイツがお前に何か言ったんだろ?」
私は言葉を失って上げた顔をまた下げて俯いた。
…この際だ、正直に言ってしまおう…うやむやにするのは嫌いだし、殺されたら殺された時。
私は開き直り、アレウスにジンさんから受けた忠告の全てを話した。
最初のコメントを投稿しよう!