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「うわあああぁぁぁ!」
一人の男が叫びながら小屋を飛び出した
外は真っ白に染まっている
ボクはそぅっと小屋の中に入った
中には長い髪の着物を着た女が一人囲炉裏の前に座っていた
ボクはその向かいに回った
「もうやめようよ、雪女」
何の反応もない
「何回やっても無駄だよ、もうこれで何回目、人間に逃げられたの」
綺麗な女は聞こえていないかのようにじっとしている
「ねぇ、雪女、ボク、もう雪女が傷つくの見たくないよ」
「雪(せつ)」
女がやっと口を開いた
「ありがとう、雪。だけど私はやめないわ。それこそ私の事を知っても逃げない人が現れるまで」
「どうして?」
女はまるで真っ白な雪の中咲く椿の華のように笑った
「だって、人間の事が大好きだから」
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