第二節

2/2
前へ
/20ページ
次へ
「うわあああぁぁぁ!」 一人の男が叫びながら小屋を飛び出した 外は真っ白に染まっている ボクはそぅっと小屋の中に入った 中には長い髪の着物を着た女が一人囲炉裏の前に座っていた ボクはその向かいに回った 「もうやめようよ、雪女」 何の反応もない 「何回やっても無駄だよ、もうこれで何回目、人間に逃げられたの」 綺麗な女は聞こえていないかのようにじっとしている 「ねぇ、雪女、ボク、もう雪女が傷つくの見たくないよ」 「雪(せつ)」 女がやっと口を開いた 「ありがとう、雪。だけど私はやめないわ。それこそ私の事を知っても逃げない人が現れるまで」 「どうして?」 女はまるで真っ白な雪の中咲く椿の華のように笑った 「だって、人間の事が大好きだから」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加