水瓶鏡

2/3
前へ
/28ページ
次へ
窓際の花瓶に挿した花を想うと 降る雨の着水点はまあるくて 本当にまあるくて 揺れる心も みずたまりの世界の中だけでも 空から降る生命の一滴 内側からでしょうか 包まれたいと 願う湿度は高めの部屋で 世の中を閉じ込めた花瓶 水の揺らぎはありますか 流れはありますか 散らせたくない花びら つれてきてください たくさんの涙でもいいのです つれてきてください 情態に想わせ想像すること 思い込ませること信じること 事実を知ることで 雨降りの地球ぐるぐるまわり 時折のやさしさに出会い きびしさを感じながらも 涙の海にかこまれてもいた ゆらなりとした中で こまかしくありながら 本当はざわざわでした あたしたちが揺れてまわる 涙なんてここにたくさんある 息荒くても 海をなぐさめていた季節に ゆびさきだけでも繋ぐ言葉を ほしいまま 泣きじゃくる窓をあけたら 帰る場所を忘れない 低い空がありました たくさん在りすぎた窓際から見た 水溜りに映っていたのは
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加