第一話 君は選ばれちゃった!!

2/5
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
「僕はあの神々を許さない。 皆が平和な日々を送れるようにするためには、君の力が必要だ。 そして、一度僕に力を貸したら君は、僕と一緒に戦い続けなければならない。 でももし、この話に耳を傾けてくれるのなら、原山丘中心の桜の木に触れてほしい………」 俺、新城一也(しんじょうかずや)は、田舎のちょっと名の知れた進学校、原山高校の入学式を明日に控えている15歳のごく普通の少年だ。 いや、正確には普通の少年だったのだ。 ………あの夢にさえ耳を傾けなかったら………。 10日前から、あれと同じような夢を見続けていた俺は昨日、ついに………!! 原山丘へ行ってしまった。 同じ夢を毎日見るのもいい気がしないし、それに、何も起きるはずがないという確信を持っていたからだ。 「ここがあの桜の木だよな?」 俺は、何も起きるはずがない。 そう思って、桜の木に触ろうとしたが、もしあのことが現実になったら………っと考えると、不思議と一瞬手が止まった。 しかし、男だ、こんな所で立ち止まるわけにもいかないと思い直し、少しずつ桜の木に手を近づけた。 そして……… 光が優しく、俺を包み込んだ。 「なんだこれは?」 その後、一瞬で見知らぬ世界へ辿り着いた。 ここ一面、真っ白な景色が続いていたが、どこからともなく俺を呼ぶ声が聞こえてきた。 「こっちだよ」 俺は声がする方に向かって歩いた。 歩き続けた。 しかし景色はいっこうに変わらない。 心の中でまだか!!っと思っていた頃……… 「もう少し」 そう聞こえたので我慢して歩いた。 それから3分ぐらい歩いただろうか、ようやく何かが見えてきた。 「うん?誰だあいつは?………はっ!!」 それは、背中に大きな羽をつけている綺麗な顔立ちをした女性だった。 あいつは、いつもあの夢に出てきていたやつ………だよな? それからまた少し歩き、その女性の前に立った。 「お前は誰だ!!そして俺に何の用だ!!」 「僕の名前はメリヤース・サマラクヤ。 天使で~す。 ついでに性別はないよ。 好きになんかならないでね? 天使を解雇されたら僕は人間…しかも女として生活することになるらしいけどね~」 メリヤースという女性………いや、天使?は、可愛らしい笑顔でいきなり意味不明な自己紹介を終えた。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!