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「僕はあの神々を許さない。
皆が平和な日々を送れるようにするためには、君の力が必要だ。
そして、一度僕に力を貸したら君は、僕と一緒に戦い続けなければならない。
でももし、この話に耳を傾けてくれるのなら、原山丘中心の桜の木に触れてほしい………」
俺、新城一也(しんじょうかずや)は、田舎のちょっと名の知れた進学校、原山高校の入学式を明日に控えている15歳のごく普通の少年だ。
いや、正確には普通の少年だったのだ。
………あの夢にさえ耳を傾けなかったら………。
10日前から、あれと同じような夢を見続けていた俺は昨日、ついに………!!
原山丘へ行ってしまった。
同じ夢を毎日見るのもいい気がしないし、それに、何も起きるはずがないという確信を持っていたからだ。
「ここがあの桜の木だよな?」
俺は、何も起きるはずがない。
そう思って、桜の木に触ろうとしたが、もしあのことが現実になったら………っと考えると、不思議と一瞬手が止まった。
しかし、男だ、こんな所で立ち止まるわけにもいかないと思い直し、少しずつ桜の木に手を近づけた。
そして………
光が優しく、俺を包み込んだ。
「なんだこれは?」
その後、一瞬で見知らぬ世界へ辿り着いた。
ここ一面、真っ白な景色が続いていたが、どこからともなく俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「こっちだよ」
俺は声がする方に向かって歩いた。
歩き続けた。
しかし景色はいっこうに変わらない。
心の中でまだか!!っと思っていた頃………
「もう少し」
そう聞こえたので我慢して歩いた。
それから3分ぐらい歩いただろうか、ようやく何かが見えてきた。
「うん?誰だあいつは?………はっ!!」
それは、背中に大きな羽をつけている綺麗な顔立ちをした女性だった。
あいつは、いつもあの夢に出てきていたやつ………だよな?
それからまた少し歩き、その女性の前に立った。
「お前は誰だ!!そして俺に何の用だ!!」
「僕の名前はメリヤース・サマラクヤ。
天使で~す。
ついでに性別はないよ。
好きになんかならないでね?
天使を解雇されたら僕は人間…しかも女として生活することになるらしいけどね~」
メリヤースという女性………いや、天使?は、可愛らしい笑顔でいきなり意味不明な自己紹介を終えた。
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