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「だからって、俺にあんな嘘っぱちの夢を見させていたのか!!
何で俺がわざわざお前のために同化なんかしなければならない!!」
無責任にも程があるぜ!!
いくら天使と言えども、殴っても罰は当たらないよな?
「それについてはごめんなさい。
このとおり!!
でも、これだけは聞いて!!
君がいないと人間は滅びてしまう。
今、この人間界を救えるのは君を含め、三人しかいないんだよ!!」
メリヤースは、自分が悪いことをした、ということを踏まえた上でこの事を告げた………かどうかは分からない………が………。
少なくとも、反省の色は見せているようには感じた。
「うんじゃ一体、俺はどうしたらいいんだ!!」
いかにも反省してますそぶりと、涙目になっていた顔のメリヤースを見てしまったためか、少しだけ口調が和らいだ。
くそっ!! あんなやつに優しさなんていらないのに………。
「うんじゃ、君は瞼(まぶた)を閉じるだけでいいよ」
それは、とても優しい声で言った。
………まるで本当の天使のように………
………うん?
本当の天使なんだったっけか?
しかし、これは完全にメリヤースの罠だったのだ!!
それとも知らずに、目をつぶってしまった俺。
「こ、これでいいのか?」
俺は、さっきまでとは違い、まるで静かに波の音を聞くように、穏やかな様子でメリヤースの言葉を聞き入れた。
おー流石天使!!
人を騙すのもお手の物!!
………ってオイ!!、天使がそれでいいのか?
いいわけないよな?
「うん、オッケー!!
それじゃあ、最後のお願い!!両手をそのまま前にだして!!」
またもや優しいトローリとした甘~い言葉。チョコと生クリームとあんこ、その他甘い物をふんだんに使ったお菓子のように。
佐藤付子さんとか綿雨林檎さんではないけど………
俺は、言われた通りに両手を差し出した。
すると………!!
「君は引っ掛かったんだよ!!
今から君と僕の同化が始まるよ。
悪く思わないでね~」
さっきまでの口調はおさらば。
まるで天使から悪魔にでも変身するように、再び陽気な声に戻しながらそう告げられると、俺の手に触れた。
「だ、騙したな!?………うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!…………………………」
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