幸せと不運

１「運ばれる運」

残念な食料の袋を右手に携え、丸い背中を更に縮めて歩く。

…幸せな奴は何処までも幸せなのに、それでも不幸と嘆くのか。
幸せな奴から見たら俺はきっと良い肴だろう。

さて、と。

ガタガタの戸に手を掛け、なかなか開かない玄関を力いっぱい開ける。

「…はぁ」

やっとの思いで入れた部屋は、人が住んでるのも疑わしい所だ。
部屋はいつも出来るだけ綺麗にしているが、外見はそうはいかない。