1「運ばれる運」

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それから慣れない右腕での生活と、絵を描くことしか知らない俺に、働かねば生きていけない現実を目の前に叩き付けられたのだ。 慣れない右手、慣れない現実、慣れない力仕事。 慣れない事ばかりが重なっていく。 いつもの不運だけが変わらず俺につきまとい続けた。 ちょっとコンビニへ出掛けただけなのに、野良犬に小便掛けられるし、 ちょっと銀行に用があるから行っただけなのに銀行強盗の人質になっちゃうし。 新品の自転車買ったらサドルだけなくなってるし。 そもそも俺が住んでる部屋、毎晩゙出るじ。 こんなに不運が続くのに良いこと一個もないし。
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