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「危…険レベ…ル………ブラック…直ちに…排…除…し…ま…………」
潰れたロボットが何かを言いながらピー、ピー、と充電切れのような音を響かせる。
もうすぐ壊れるだろう、とそのままにしておけば案の定、甲高かった音は消え、機能が停止した。
「他の奴らが来る前に早く取り行かねーと…」
邪魔者が消えた事に安心するも、落ち着く間もなく素早くチャリに乗って行動を開始する。
校門を出ようとした途端、突然見覚えのある車が門の前に止まった。
ふと眉を重ませるサイコ。
この真っ赤な車はもしかして…
答えを心の中で出す前に、窓から顔を出した人物は、サイコの母親だった。
「母さん!!」
息子に叫ばれたスーツに身を包んだ母はホイ、と言いながら軽い手付きで物をサイコに投げた。
「うわっ…」
慌ててそれをキャッチして、投げられたものを確認する。
するとそれは、自分が必死になって取りに行こうとしていたブラックのバッジだった。
「忘れモン。届けてやったんだから感謝しなさいよ」
目をパチクリとさせ驚く息子に全くもう、と息を吐きながら注意する。
「…ちょっと、聞いてる?ねぇ、」
バッジを見つめたまま動かないサイコ。
予想外の反応にサイコの母は再び声をかけるも、びくともしない。
チラッと腕時計を見ると時刻は9時30分。
9時30分って事は………
「サイコ、授業もう始まってんじゃないの!?どこ行くつもり!?」
慌ててサイコを見て怒鳴る。
すると、固まっていた様子とは一変、サイコはその場に腰を抜かしたように座り込んで、泣きそうな、しかしとても安心した顔をしていた。
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