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「良かったぁ……」
サイコは嬉しそうに息をつく。バッジを丁寧に制服のブレザーの右上部分に付けると立ち上がり母親に向き直った。
「母さん、マジでありがとう、助かった!」
笑顔でそれだけ言うと体勢を向き直しチャリを押しながら校内へと戻っていく。
母親は息子の変化について行けず呆然としながら彼の背中を見送っていた。
「バッジ持ってきてもらえて良かったああ…」
自転車を置き場に直し、校内へと戻っていくサイコ。
彼の表情は警官アンドロイドを壊した事などを忘れた、安堵の表情だった。
ほっとしたのも束の間、授業に戻らなければいけないという事を思い出すと、思わず顔が歪む。
だるい。
ただそれだけの理由で授業に出るという選択肢を消し、屋上へと向かう。
途中窓からグラウンドを見ると、ゴスロリ風紀委員長は既にグラウンドには居なかった。
舌打ちして、埋まってれば良かったのに、と心の中で呟く。
階段を上がりながら次に会ったらどうしてやろうか、と考える。
どちらかと言うと温厚な性格に見える彼は、普段はグラウンドに投げ飛ばす程度じゃ全体に許さない性格。
強いマスターを持つだけあって、中々の戦闘通なのだ。
ついに最上階を上り、屋上へと入ろうとドアを開けようと手を伸ばした、次の瞬間。
「あだっ!」
なんとこっちから開ける前に、外から開けられ、サイコは顔面を強打した。
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