奪え。

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奪え。

………時間だ。 僕達には、すぐに金が必要だった。 時間は深夜2時。 もう間もなく 新聞配達のバイクが 市営住宅のマンションに来る。 そして、エンジンを かけたままバイクを 離れエレベーターに乗り、最上階の7階へあがる。 「来たぞ!…ケイっ!アツシっ!急げよっ!」 …マサルが呼びにくる。 マサルに呼ばれて慌ててマンションの入口に向かう …チン。深夜のマンションに、エレベーターの音が鳴り渡る。新聞配達のおっさんが、重そうな身体でドスドスとエレベーターに乗り込んだ。 僕らは、その様子を伺いながらバイクへと近づき、荷台の大量に積み上げられた新聞を蹴り崩し、バイクにまたがった。 アクセルを握り、アツシとマサルを荷台に乗せギアを踏む。 時間にして数十秒。 …僕は思う。盗みとは、時間と感謝に限るのだ…。 「ケイ…っ!ケイ!!」 後ろからアツシが叫ぶ。 「今日はどこを荒らす!?」 「時間無いから谷川辺りに行くつもり!!」 僕は大声で後ろの二人に説明をする。
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