癒えぬ心、降りかかる毒

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扉の隙間から真顔で教室の中をガン見してると、不審者と間違われる危険性があるので、堂々とした佇まいで教室に入っていく。 皆が俺の方に注目するが、入ってきたのが俺だと分かるとすぐに教卓の方に顔を向け直した。 自分の席目指して歩いていると、俺に気付いた担任が激しい怒声?を俺に向けて飛ばしてきた。 「斉藤まさお……汝は学び舎をなんと心得ているのだ!?」 デュラハンは大声で怒鳴っているつもりだろうが、兜に覆われているため、非常に声が聞き取りにくい。 それはいつものことだから見逃せるが、一つ聞捨てならないことを言ったのを俺の耳は聞き逃さなかった。 「おいポンコツデュラハン。俺の名前は夜桜時雨だって何度言わせる気だ。あまり俺を怒らせるなよ……でないとこの右目、ベリアルが貴様を零の世界に誘(いざな)うだろう」 そう言って右目を抑え、苦しそうに片膝を付き息を荒らげた。 決まった、完全にイケメンな感じに決まった。
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