癒えぬ心、降りかかる毒

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人生の辛さに嘆いてるうちにHRは終わっており、邪魔くさいデュラハンは授業の準備のため居なくなっていた。二度と戻ってこなくていいぞ木偶の坊。 授業が始まるまでの数分間、教室は喧騒に包まれていた。 友達と楽しそうに雑談する者、学校にきたばかりなのに早弁する者、夜ふかしをしたのか少しでも寝ようとする者など様々。 そんな喧騒の中、特にすることなく椅子に座っていると不意に誰かに話しかけられた。 「「ねえ……まさお君ちょっといいかな?」」 またこのパターンか……上等じゃねぇか何度だって突っ込んでやんよ。 「璃々花に瑠々花……斉藤まさおは俺の偽りの名であって、本名は夜桜時雨だ。いい加減覚えてくれ」 声の方に振り向くと、そこには双子の少女――西園寺璃々花と瑠々花が立っていた。 璃々花は短い髪を銀(限りなく白)に染めており、右目、右腕、右足を白い包帯で隠し、空いてる左目には白のカラーコンタクトを付けている。ちなみにペッタンコ(どこがとは言わない) 瑠々花はその真逆で、髪は黒く、包帯は黒く染まっていて璃々花と左右対称になっている。同じくペッタンコ。 包帯を巻いていない手足には長さ50cm程の灰色の鎖が巻かれており、二人を二人三脚みたいに縛っている。 動きにくくないのか聞いたことがあるのだが、二人曰く、二人は一心同体で鎖を外すと逆に動きにくいらしい。 言葉も同じことを一緒に喋り、一人で喋ろうとしても勝手にもう一人も喋ってしまうそうだ。 なんともまあ面倒くさい双子だが、姉妹の仲の良さは正直羨ましい。
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