癒えぬ心、降りかかる毒

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「「あのね……私たちはまさお君にお願いしたいことがあるの」」 璃々花と瑠々花のお願いごとだ……俺にとってろくでもないことなんだろうな。 てか、こいつら俺の言うこと聞く気が全くないんですね分かりたくありません。 「あのな……はあ、もうどうでもよくなるな。それでお願いってなんだよ?」 「「えっとね、次の時間に使う英語の教科書を貸してほしいの」」 えっ、教科書貸すと俺が教師に怒られることになるんだけど……それより同じクラスの奴に教科書を借りようって考えが既に理解できないんだが。 「「大丈夫……まさお君勉強なんてしてないから先生も諦めてる……はず。それに、まさお君に理解できないって言われるのは凄く心外」」 真顔でなんて失礼なことを言ってくるんだ。 なんで俺の周りの女性はこうも俺の心を折るのが上手なんだろう……夜桜時雨検定1級でも所持してるのか? 「人の心を勝手に読まないでくれるかな!?俺のプライバシーがダダ漏れなんですけど!?」 「「私たち二人もプライバシーなんてないから平気。互いの考えがわかるから」」 いや、璃々花と瑠々花がお互い心が通じ合ってるからって、俺のプライバシーがダダ漏れにされていい理由にはならないんだけど。 「「ねえ……まさお君……私たちのために怒られてくれない……?」 友人としての贔屓目なしにしても可愛いと思う璃々花と瑠々花の涙目+上目遣い。 さらに身体を密着させられ、服をちょこんと摘まれる仕草の破壊力に俺の心は一瞬で壊れた。 「ああ、教科書だろうがなんだろうが全部貸してやるよ」 このセリフの直後、実は全ての教科書を忘れてきた璃々花と瑠々花に俺の教科書たちは拉致されていくのだった。
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