癒えぬ心、降りかかる毒

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璃々花と瑠々花に教科書を取られた俺は、今日必要な教科書を借りるべく校内を走り回っていた。 前に俺の学校生活は授業妨害が主だと言っていたが、一応授業の体裁だけは保つために教科書が必要なのだ……真面目に授業は受けないけど。 見えもしない誰かに心の中で補足説明して周りが見えてなかったせいか、いつの間にか俺は三年生のいる三階にいた。 アホか俺は……一時限目開始まで時間がないっていうのに、時間を無駄に消費してる場合じゃないだろう…… 急いで階段を下りると、焦っていて注意散漫だったのか、二年のクラスがある二階の階段の曲がり角で見知らぬ女生徒とぶつかってしまった。 「きゃっ!?」 「うほっ!?」 いや、なんだよ『うほっ』って……せめてもうちょっとまともな声で倒れたかったんだが。 おっと、自己嫌悪してる暇があるなら急いで女生徒に謝らなければ。 「あの、すいません。大丈夫です……か?」 きっと今の俺は目を限界まで見開いて尻餅をついてしまった女生徒をガン見しているに違いないだろう。 なぜなら……ピンク色をした三角の物体が視界に映し出されているからだ。 …………意味ありげに言いましたが、ただのちょっと大きめの髪飾りなんですがね。 すいませんね、皆様が想像したであろう物体は、転んだ時偶然に閉じたであろう足にガードされて見えませんでしたよちくしょう!!
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