癒えぬ心、降りかかる毒

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結局朝食を摂取しそこなった俺は、猛抗議を上げる腹の虫を大量の水を飲むことで誤魔化し、緩慢な動きで制服に着替え始めた。 手馴れた手つきでYシャツのボタンを上二つを開けたまま残りを締め、ネクタイを緩く下げる。 勿論Yシャツの裾はズボンにしまわず、ズボンは腰より更に低い位置まで下げている。 寝癖でボサボサになった髪の毛の手入れをするために鏡の前に立つと、そこにはRPGに出てきそうな自分の姿が映し出された。 余すことなく金色に染まった髪の毛は寝癖でメデューサの髪のようにビッグバンしており、目の下には魔族の紋章みたいなクマが浮かび上がり、不良紳士の嗜みである右目のカラーコンタクト(赤色)が取れかかっていた。 化け物みたいな姿を見て驚かなかった自分を褒めちぎってやりたい。 とにかくこんなだらしない格好で登校などすれば、不良紳士の名に傷が付くこと間違いなしだろう。 そのような自体は避けたいため、鏡の前で入念に身だしなみを整えると、俺はゆっくりと家を後にした。 ……遅刻するために無駄な寄り道をしながら。
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