その日、少女に誘拐された

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簡単な事だ。 やけにリアルな金属フレーム。 バレルは塞がれておらず、しかもキレイに螺旋が入ってる。 こんなモデルガン見た事がない。 そして第一、 イタズラにしては彼女の目は本気(マジ)すぎる。 「利用する価値はありそうですね。ボクに協力してください。さもないと、」 「わかったわかった・・・で、俺は何をすればいいんだ」 少女は、肩にさげたスクールバッグから数枚の写真を取り出す。 そしてそれを、まるでカードゲームの手札みたいに持ち、俺に見せ付けた。 「これらの写真の内、3人を"殺し"ます。それを手伝ってください」 今、よく考えてみれば背中がゾッとする。 俺はさっきまで、こんなイカレ女と普通に会話のキャッチボールを成立させていたなんて・・・ もしかしたら俺もまともじゃないのかもしれない。 「そいつらに恨みでもあんのか?」 「・・・そうです」 少し、少女の目つきが鋭くなる。 「左から3番目の男は私の母親を殺し、1番右の男は、ぼくを犯しました。それから、」 「き、聞いて悪かった・・・ゴメン」 聞かなきゃ良かった・・・ 「謝る必要なんてありませんよ。あなたには協力者として、知る権利はあります」 そんな権利、出来れば全力で放棄させてもらいたい。 「それと、あなたには義務もあります」 「君に従う義務だろ?」 「それもありますが、ぼくが復讐を遂げるまで衣食住を提供するんです」 「んな、無茶な・・・俺はビンボーだぞ」 いや、待てよ。 衣食住、という事はつまり、俺の部屋に居候するって事だろ。 つまり彼女は24時間俺を監視しなくちゃならない。 隙が出来るかもしれない! 早くも希望の光が見えてきたな。 「ああ、わかった。衣食住は提供する」 「"衣"は今の所間に合っているので、買うとすれば下着を・・・」 (グギュゥ~) 腹の虫が鳴いたのは俺じゃない。 俺はさっき弁当を食ったばっかりだ。 少女を見るとお腹を抑えながら鼻でため息をついている。 見るに見兼ねた俺は腕を組みながらため息を付く。 「まずは"食"の提供だな」
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