その日、少女に誘拐された

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「高2か。そういえば君の名前、聞いてなかったな」 「あなたに知る権利はありません」 全く、無愛想極まりない奴だ。 名前を教えないのは誘拐犯として当然の事ではあるが・・・ 俺の見える範囲で知り得る彼女の情報といえば、ブレザーの校章が東高校のものだという事くらいか。 東高校と言えば、市内でも有名なエリート高校だ。 確かに彼女は頭が良さそうな雰囲気をしている。 秀才がダークサイドに落ちやすいってのは、都市伝説じぁないみたいだな。 「じゃあ、行きましょうか」 スパゲティーを食べ終えた彼女は、立ち上がってブレザーを着直した。 「行くって・・・どこに?」 「ホテル」 「は?」 喫茶店から10分程歩くと、彼女の言うホテルに着いた。 「おい、これはどう考えても・・・」 「端から見れば援交だ、と言いたいのですね?」 「ツラッとした顔で言うな!知り合いにでも会ったらどうすんだよ!」 「安心してください、ぼくにはもう知り合いなんていませんから」 「お前の事を言ってるんじゃないんだよ・・・」 「入りましょう。命令です」 そう言うと、彼女は鞄に手を入れて俺を睨む。 「わかった、わかったから鞄から手を離してくれ」 従うしかなかったんだ。 そう頭に言い聞かせながら、少女とホテルに入った。 真っ昼間から怪しいライトが点滅している謎のアーチをくぐると、自動ドアが開く。 「いらっしゃいませ、ホテルメリーゴーランドへようこそ」 カウンターから蝶ネクタイの男が出て来て、営業スマイルで出迎えてくれた。 すると、少女はすかさずその男に駆け寄り、鞄から写真を取り出す。 「この男を知りませんか」 「あ~、知ってるけど」 「今何処に?」 「うーん、タダでは教えらんないね。てかお嬢ちゃん何者?・・あ、わかった!あの男にヤられて怨んでるんだろ?アイツは女子高生大好きだからなぁwww」 「違いますし、あなたに教える筋合はありません」 「んだとガキィ!!」 今までそのガキ相手にヘラヘラしていた男は、鬼の形相に変貌し、少女の肩に掴みかかった。 ヤバイ、 このままじゃ危ない・・・
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