31人が本棚に入れています
本棚に追加
この青年は何故死を決意したのか。自分の事は棚に上げて、私は自殺する程の不幸を抱えた青年の話に集中していた。あまりせっついてしまうと、話してくれなくなる気がしたので、冷静を装う為に私も煙草に火を点けた。たちまちドームの中に煙が充満する。
「このドームの建てられた位置って、不自然だと思わない?こんな公園の隅に、ぽつんと建てられてるって、変じゃない?」
急に話が変わったので、私は不満に感じた。
「確かに不自然な位置ね。まるでわざと隠されているみたい。でも、それって今の話と関係あるの?私、脈絡なく話す人って苦手なの。」
「せっかちだなぁ。会話ってものには順序があるんだ。例えば…。」
「例えばの話は結構。早く続きを聞かせて。」
逸る気持ちが抑えられずに、思わずきつい口調になる。そんな私に対して青年は、深夜の海外コメディードラマの俳優よろしく、両手を大きく開いて呆れて見せた。
最初のコメントを投稿しよう!