マルボロの吸い差しを潰して

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大きな溜め息を吐いて、青年は話しはじめた。 「仕方ないな、じゃあ話すけどね、この公園、昔はもっと広かったんだよ。今残っているこちら側は、一般的な公園と同じ様に遊具が作られた。今は管理しきれないみたいで、大分寂れてしまったけどね。そして、このドームを挟んで反対側には、自然を利用した遊具が作られたんだ。だけど、あちら側は封鎖されてしまった。何故か分かる?」 首を傾げ、私に問う青年。 「首吊り自殺があったから?」 「察しが良いね。そう、一年で数件の首吊り遺体が発見されたと云う事で、封鎖された。だけど、厳密には封鎖しきれてはいなかった。君が入って来た入口の反対側に、あちら側に通じる出口もあったんだ。ドームに閉じ込められた僕は、偶然発見したその出口から森に出て、三日間さ迷った。」
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