マルボロの吸い差しを潰して

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車のハイビームが私を射抜く。 余りの眩しさに、私は手で顔を覆った。車はクラクションを鳴らしながら、わざとらしく大きく私を避け、過ぎ去った。 携帯のディスプレイで時刻を確認すると、時刻は既に午前2時13分を示している。クラクションを鳴らされるのも無理はない。 この辺りには民家はない。標高100m程の緩やかな傾斜の山を削って、真ん中に道路が一本通っているだけの場所である。 その上、首吊り自殺の名所と云う噂もあるので、深夜には車通りも殆どないに等しい。 そんな場所を、年頃の私が一人ほっつき歩いているのだから。
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