マルボロの吸い差しを潰して

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何だか気が抜けてしまい、錆が浮いたブランコに足を運びかけた時、ドーム型の遊具があるのに気付いた。先程は木に視界を遮られていた為に気付かなかったのだろうか。 妙な位置に建てられた、妙な形の遊具が、妙に気になり近付いてみた。表面には足場になる様に突起がはめ込まれている。その遊具の周りを歩いていると、入り口らしき小さな穴を見付けた。大人が入る為には這わなくてはならないだろう。 その時私は決意した。このドームの中で命を絶とう、と。 恐る恐る足を運ぶ私。死ぬつもりなのに、何を怖がっているのか、と少し可笑しく思う。 間近で入り口を見てみると、遠目で見るよりも一回り小さく感じられる。本当に通れるのかしら、と思いながらも腹這いになった。頭を打たない様に、注意深く手足を動かす。頭、右手、左手の順に侵入に成功した時、私は違和感を感じて顔を上げた。
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