マルボロの吸い差しを潰して

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「ねえ、君、死ぬ為に此処に来たんでしょう?」 青年の瞳孔が一瞬見開かれた。が、しかしその直後には、また先程までのうつろなものへと戻っていた。 「うん。」 「そうよね、だって此処、自殺の名所だもん、でも、死ねずに居るんでしょう、だから…」 「君は僕を傷付けたいんだろう?分かってるよ、自分が弱いって事くらいね。死のう死のうと思っても僕には死ぬ事すらもできない。」 血相を変えた青年は、私の言葉尻に被せて言い放った。 「何言ってるの、そんな訳ないじゃない。だって…」 「君は酷い人間だね、僕、分かるんだ。直感だよ。虐げられてきた人間が分かるんだ。君は虐げられて生きてきた。それなのに、自分より弱い者を見るといじめたがる。それが君の知恵なの?日本の社会で生きて行く為の?バカバカしい。」
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