プロローグ

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プロローグ

 これは、年に合わぬ巨大な希望を背負って戦った少年達の世界における、はるか後の物語である…。  融合歴100年…時空間の融合を皮切りに、かつて"エンジェルフライ"や"プリキュアマトン"の活動が世間を騒がせ、にわか仕立ての若手参議院議員が地球全体の政治を支え、ヒットマン達が独自に世直しに走った巨大な戦争"人類革新大戦"が終結した世界。来年、終戦100周年を迎える事もあり、社会は少しずつ新たな活気を見せ始めていた。  元凶である少女が日本の隠し少年兵によって力を失った後は、あまりに広がりすぎた世界を収束させる方向で動き出した。大規模融和、異世界との統合、技術複合、超未来的な都市開発、爆発的なスピードでの文化交流…その過程で人類は全ての国を情報国家とする事に成功し、魔法の恒常利用を実現させ、外宇宙への進出に着手し、これらは全て順当な成果を挙げていた。  しかし、それはあくまで当事者達の話。あまりにも速すぎる革新の連続に、民間人は追随するだけの気力を失い、現状維持を求める様になっていった。  進化の気力のみならず、生きる気力も失っていった民間人を元気付ける事は、人類の革新において極めて重要である。世論に流されて文化が停滞しない様、人々は民間人再起の方法を模索した。  ここで注目されたのが、西暦2030年代から持ち込まれた、人々の生活に溶け込む小型ロボット"MMS"…その代表格たる"神姫"だった。娯楽、家事、教育、福祉…あらゆる現場で活躍する神姫を、人類革新への気力回復に生かすという手段が考案されたのだ。  幸い、現状での神姫は本体・装備品共に新技術の導入による性能の大幅な底上げがなされていた為、能力上は民間人再起の手段として申し分ない状態である。性格は持ち込まれた当初のままに、性能は全くの別物となっていたのだ。  …そしてこの年、ついに神姫は人間の活力を取り戻すべく動き出すのだった。  融合歴100年…世界は今、失意の中にある。
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