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両親を亡くしてから四年。 私達は八歳になった。 双子の姉“シーズ”は、ここバチカンから数百メートル離れたカトリック学園に通っている。 病弱な私は、毎日ベッドの上で窓の外を眺めているだけ。 外に出ることは許されない。 両親が遺した莫大な遺産は、特に関わりも無かった親族達にほぼ分散され、私達二人に遺されたのはわずか。 今はバチカンにいた親族のもとに、私とシーズは預けられている。 大人は汚いわ。 私は死んだ。 死んだことになってる。 私が死んだことによって出た保険金で、この家の親族たちの家計はまた潤った。 いいのよ。 私達二人のご飯も、少し豪勢になったもの。 シーズも喜んでくれるから。 外で遊べないのは辛いけど、どうってこと無いわ。 親族からの暴力にだって耐えられる。 だって私にはシーズがいるもの。 学校に行けない私に、シーズは毎日勉強を教えてくれる。 私にはシーズが居れば、それだけでいい。 神様が与えてくれた、唯一最後の希望。 「ねぇエンヴィ。お金を貯めて、いつか二人でここから出ましょう。二人で暮らせる街に行くのよ」 シーズはいつもそう言って、私にキスをしてくれる。 「そうね、シーズ。」 そうして二人同じベッドに眠るのよ。 物置部屋の寒い空間でも、二人で身体を擦りあえば暖かくなる。 そして快楽に落ちるの。 シーズの長い髪が好きよ。 とても綺麗だわ。 「エンヴィもショートヘア、とても似合ってるわ」 私達は愛し合ってる。 二人だけの世界。 二人だけで生きていくのよ。 愛してるわ、シーズ。 貴女がどんなに冷たくなっても、その美しさは変わらない。 愛しのシーズ。
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