少年が全てを失う夜

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『……つまり、ゼロ隊長、纏めるとどういう事でありましょうか?』 《理解能力に乏しいなエステル、俺はもう理解したぞ?》 『市村氏、貴殿にはアンカーしておらぬよ、というか、答えにもなっておりませぬ』 《まぁそう言うな、エステル。自分の理解能力の低さを人のせいにしてはいけない》 『何を申される市村氏、私がいつ人のせいにしましたか』 《エステルは自分の理解能力の低さを棚に上げ、要点を聞き直そうとしたからな。少しツンツンしてみた》  少し席を外していた少年は、部屋に戻りパソコンに映し出された掲示板を見て、慌ててレスを書き込む。 【……喧嘩はやめて下さい、2人共。僕がトイレに行ってる間に何をしているんですか?】  このサイトの副管理人である2人が、真っ先に意味の無い口論をしてどうする、ここが管理人専用トピックでよかった、と、少年は嘆息した。 『おお、ゼロ隊長、レスが止まったと思ったら、トイレでありましたか!』 【はい、すみません、エステルさん。重要なタイミングでトイレに行ってしまって】 『排泄ならば仕方ありませぬ。それで、さっきの話はつまり、どういう事でありますか?』 《ほらまた自分の理解能力の低さを棚に上げる》 【市村さん、喧嘩は駄目です】 《やだなー、ツンツンしたかっただけだって》 【全くもう……次やったら、強制退会にします】 『ゼロ氏、容赦無いのであります!』 《それだけは勘弁してくれ、ゼロ!》  市村とエステルのレスがまさしく同時だったため、少年は思わず吹き出した。
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