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「千里、邸はもうすぐだからね」
気高く、優しかった当主様。
「お腹が空いたでしょう?」
美しく、賢明だった奥方様。
「邸に帰ったらまたちゃんばらごっこの続きしようぜ!」
本当の兄妹ように遊んでくれた義兄様。
「邑閠(ユウギョク)に無理矢理付き合わなくてもいいのよ、千里。姉様とお邸のお庭でお花摘みする?」
自分のことを何でも分かってくれた義姉様。
遠縁の商家の末っ子に過ぎなかった自分を迎え入れてくれた人々を心から信頼していた。
この幸せがずっと続くと思っていた。
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