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たちまちブーイングの嵐が起きるも、それでテストが中止になるはずがない。問答無用で、はじめ、と教師が号令をかけた。
あー、ダメだ。なんにも出てこない。頭を抱えこむばかりで、アカネのペンはまったく動かない。進まない。周りからカリカリと威勢のいいペンを走らせる音が聞こえてくるのに。なんだか自分だけとり残されたような感じがした。
「あと一分」
脅迫のように教師が告げる。
それでもアカネはなにも書けない。解答欄は空っぽのまま。白紙解答だ。思いだそうとすればするほど、頭が真っ白になる。代わりに、今朝の占いが頭の中を駆けめぐった。
今日はあまりついてないかも。
白いものに注意でーす。
ラッキーポイントはポジィティヴシンキング。
なにがあってもプラス思考でがんばりましょう。
だが、この状況では、前向きに考えることなどできなかった。
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