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白いものは依然として落下をつづけていた。まだるっこいスピードで、確実に彼のもとに向かっている。
「ああ、先生。やっと、やっと会えました」
突如、感極まる声が部屋に響いた。まだ幼さの残る、少女の声。発したのは、おそらく白いもの。
その声を聞いた瞬間、彼はさらに大きく目を見開いた。同時に、あまり思いだしくない、昔の記憶がふつふつとよみがえってきた。
「きみ、いい加減によしてくれ。こっそり人の写真を撮ったり、家までついてきたり、おまけに、こんな手紙までポストに入れたりして。なにを考えてるんだ」
一年前。ある女子高校で、彼が教鞭を執っていたころである。
手紙の束を置き、彼は困りきった表情で女子生徒を見やった。
その女子生徒は以前、彼に告白してきたのだった。もちろん彼は断った。教師と生徒が恋愛感情を伴ってつきあうのはよくない。このような考えを持っていたからだ。
ところが、このあとから、女子生徒の彼に対するストーカー行為がはじまった。
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