12人が本棚に入れています
本棚に追加
「き、きみは、いったいなにをしにきたんだ?」
不気味なひとり言に、彼の声はますます震える。
「先生と一緒になるためです」
ぴたりと動きをとめ、白いものは彼を見据えたようだった。
意味がわからなかった。彼は言葉を失い、目を丸くした。
「つまり、わたしが守護霊となって、先生にとり憑くんです」
「とり憑く?」
「はい」
「どうして?」
「先生を愛しているからです」
「なんで……なんでそこまでして僕につきまとうんだ? いったい、僕のどこがいいんだ」
わけがわからない。愛しているというだけで、なぜ身を滅ぼすことなんてできるのか。なにがそこまでさせるのか。気づけば、彼は怯えながら問いただしていた。
「どこがいい? そんなの関係ありません。好き。いえ、愛している。この感情になにか理由がいるのですか? 理由がないと愛してはいけないのでしょうか」
最初のコメントを投稿しよう!