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そう述べながら、白いものは彼との距離を詰めていく。いや、白いものは、あの女子生徒の霊である。もはや認めるしかない。
彼は眼球を動かし、その行方を追った。逃げたい思いでいっぱいだが、体がまったく動かない。
女子生徒の霊は迫り、やがて彼の胸もとから、すうーっと彼の中へ入っていった。音もなくスムーズに。
彼はまぶたを力強く閉じた。胸に痛みはない。代わりに、心臓から全身にかけてひどい悪寒が怒涛のごとく駆け抜けていった。オカルトだ。ありえない。こんなことがあってたまるか。彼は心の中で悲鳴をあげた。
そんな彼の恐怖を感じとったのか、包みこむような優しい声が彼の中から伝わってきた。
「先生、怖がらないで。だいじょうぶ。なにがあっても、わたしは裏切ったりしません。たとえ、先生が結婚しても……わたしはずっと一緒にいます。だって、今日から先生とわたしは一心同体。わたしは先生と運命をともにして、先生だけを永遠に愛していくのですから……」
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