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『お前、名前は?』
「うち?うちはな…」
白く細い…繊細な作りの指が、俺の唇をなぞる。
「千鶴。千鶴て、呼んでや…。」
『千鶴?』
「うん。」
嬉しそうに、また笑う。
『千鶴。俺は、紅夜だ。』千鶴は、首をかしげて目を細め、そっと囁くように呼んだ。
「紅夜。」
紅と、紫が交じり合う。
お互いひかれる様に、近づき、そして…
甘く、甘く口付けた。
「もう、行かなきゃ…。」余韻の静寂は千鶴が破った。
『っ、ま、て!』
手を握り、制止する。
『また、また会えるか?』
そう問うと、千鶴は顔を耳元に寄せ、こう言った。
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