Rubyに口付けて…

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あれは、四年前の春のことだった…。 『ちっ、遅くなっちまったじゃねえか。』 俺は、暗い夜道を速足で歩いていた。 生徒会の引き継ぎのことで話し合いがあり、長引いてしまったのだ。 新学期が始まれば、俺は何の問題もなく生徒会長になれるだろう…。 春、と言ってもまだ初春。夜と朝方は冷え込む。 一度、ふるりと身を振るわせる。 寒い、が、俺はこの冷たい風が案外好きだったりする。 気分転換、と足を止め、流れに遊ばせるように少し長めの赤毛をかき上げた。
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