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『はぁ、はぁ…っ!』
だんだんと唄が大きくなっていく…。
近い!
俺は、さらにスピードを上げた。
『はっ、はっ…この先は、確か、湖っ?』
森の中央部の拓けたところに、円形状の湖がある。
畔にはアイリス(菖蒲)の花が咲き乱れる、とても美しいところだ。
【その昔、鶴がこの湖の水を飲み、美しい天女となった。】
なんて、伝説もある。
『はっ、まさか、伝説の天女様ってこたねぇよなぁ…。』
このとき、俺はその考えを笑ったが、それは間違いではなかった。
俺はこの後、本当に天女に会ってしまう。
そして、その紫の瞳に捕えられるのに、そう時間はかからなかった…。
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