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天女…、いや、声の主は何かを考え込んでいるようだ。
『天女は、お前じゃないのか?』
「えっ………!?」
もっと声を聞きたくて、話しかけると、そいつは小さく声を上げ、振り返った。長めの黒髪が揺れる。
現れたのは、やはりとてつもなく整った綺麗な顔に、驚きに見開かれた紫の瞳。そう、まるで菖蒲みたいな、透き通った紫………。
俺は、その紫に、捕えられた。
しばらく見つめ合う…。
すると、天女の唇から言葉が零れた。
「綺麗…。」
『………?』
一歩一歩近付いてきて、俺に触れ、そして、髪を指で弄んだ。
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