Rubyに口付けて…

6/9
前へ
/19ページ
次へ
天女…、いや、声の主は何かを考え込んでいるようだ。 『天女は、お前じゃないのか?』 「えっ………!?」 もっと声を聞きたくて、話しかけると、そいつは小さく声を上げ、振り返った。長めの黒髪が揺れる。 現れたのは、やはりとてつもなく整った綺麗な顔に、驚きに見開かれた紫の瞳。そう、まるで菖蒲みたいな、透き通った紫………。 俺は、その紫に、捕えられた。 しばらく見つめ合う…。 すると、天女の唇から言葉が零れた。 「綺麗…。」 『………?』 一歩一歩近付いてきて、俺に触れ、そして、髪を指で弄んだ。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

249人が本棚に入れています
本棚に追加