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~待ち伏せ~
同日、22時、自宅前。
「こんな時間まで、どこに行ってたんだ?
ガキがうろついていい時間じゃないだろう…?」
自宅の前には、スクープの記者の代わりに黒澤が待っていた。
「件の所だよ、何か問題でも?」
私がそういうと、黒澤は明らかに不機嫌な顔をし、私に詰め寄る。
「あいつに何かされなかったか…?怪我は?」
「お父さんかッ…!?怪我なんかする訳無いでしょう?件は友達だよ?」
「そうか、それなら、いいんだが…。」
「それで…、黒澤は何しにきたの?」
「お前の母親の事件のことで来たんだが…、」
黒澤の挙動が怪しい…、周りを気にしてるみたいな素振りを見せてる。
「とりあえず…、上がって行く?」
私は家の扉を開け、黒澤に家に上がるように促す。
「いや…、今日はもう帰る、じゃあな。」
そういうと黒澤は踵を返し、近くに止めてあった車に乗り込む。
「友香里…、本当に何もなかったのか?」
黒澤が助手席の窓から顔を覗かせ、もう1度私に聞いてきた。
「…あったはあったけど、心配されるような事は何も…。」
「それは聞いた方が判断することだ…、何があった?」
今日の黒澤は異様にしつこいな…、何かあったのか?
「何か…、今日の黒澤、ちょっと怖いよ?」
「…もういい、せいぜい気を付ける事だな。」
そう言うと、黒澤は車を走らせて去って行った…。
その直後、黒澤の車内…。
「黒澤さん、どうして何も言わなかったんですか?」
「深い意味は無い…、必要ないと判断しただけだ。」
「…榎本さんのために調べたんじゃなかったんですか?」
「馬鹿言うな、ただ単純に奴の事が引っかかるだけだ。
奴を調べるには友香里を経由するのが1番手っ取り早い。」
「本当に、何者なんでしょうか…、あの男。」
「さぁな…、だが、単なる図書館の主では無い事は確かだ。
…大神崎、いや…、“川元康作”だったか…。」
了
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