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~冬の足音~
時は流れ…、11月4日、午前8時。
夏の猛暑は去り、女子高生には厳しい、冬の訪れを感じ始める。
「う~、寒い~!!足がスースーするよ~!!」
「…こういう時って、本当に男子が羨ましいよねぇ?」
「冬休みになったら私、絶対外に出ない!!
家に引き篭って24時間コタツライフを送るのだ~!!」
「冬休みって…、あと2ヶ月近くあるけど?」
気が早いうえに、なんて不健全な若者か…。
「高1の冬休みは一生に1度しかないんだよ?無駄にしたら勿体無いじゃん。」
「勿体無くない!!大人になったらコタツライフは送れなくなるんだから!!」
いや、高校生だからってコタツライフは無いでしょ…。
「高校生っていったら、親戚からお年玉貰えるラストチャンスじゃない?
引き篭もってたら貰えなくなるけど、それでもいいの?」
「ふっふっふ、甘いぞワトソン君!!
今年の正月は親戚は皆、我が家に集まることになってるのだよ!!」
「…だったら尚更、そんなグータラ娘にお年玉なんてくれないと思うけど?」
「いいの!!友香里は自分の懐の心配だけしてなさい!!」
「あぁ~…、そういえば今年はくれそうな人いないなぁ~。」
そもそも去年までは、父と、家に来た同僚の人からしか貰ってない。
「いるじゃん!!黒澤刑事っていうジェントルメンが!!」
「そういえば、そんな奴いたねぇ…、“じぇんとるめん”ではないけど…。」
黒澤とはここ1,2ヶ月は全く会ってない…。
まぁ、腐っても刑事だから、色々忙しいんだろう。
「友香里…、連絡とか取ってないの?」
「そんなにしょっちゅう、警察に電話掛けません!!
奈々子の方こそ、黒澤と連絡取ってないの?」
「そういえば、最近連絡無いなぁ…。
近頃、友香里がデートしてくれないから、他の女の子と遊んでるとか?」
「私は黒澤とデートした覚えは無い!!」
「そんな事言ってると、私が奪っちゃうよ~?本当にいいの~?」
「あんな粗大ゴミみたいな男、金払ってでも押し付けてやる!!」
「誰が粗大ゴミだ、クソガキ…。」
後ろから近づいてきた車の窓から、黒澤が顔を出して声を掛けてきた。
「いいタイミングで現れるな、この外道刑事は…。」
了
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