~私と件と奈々子と黒澤~

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~私と件と奈々子と黒澤~

「それで、黒澤刑事とはどういた関係なのでしょうか?」 「あの人は友香里のお兄さんです!!」 違うだろ…、いや、奈々子に喋らせた私が悪いんだ、多分。 「父が亡くなった後、私が1人暮らしをしてるのを知って、 黒澤の両親の籍に入らないかって言われたの…、断ったけどね?」 「ほぅ、だから“お兄さん”ですか…。 それで、今も彼とのお付き合いは続いておられるのですか?」 「件は今も…、黒澤のこと嫌いなの?」 「はい。」 即答か!!件って意外と根に持つタイプなのか!? 「やっぱり、友香里を巡っての三角関係ですか!?」 「奈々子は少し黙ってて…、ってやっぱりって何!?」 「誤認逮捕の事は気にしていませんよ。 ただ個人的に、彼の生き方、考え方が気に入らないのです。」 「…件って、前から黒澤の事知ってたの?」 「何故、そう思うのですか…?」 「いや、何となくそう思っただけ…。」 「楽しそうだな…、俺の悪口で盛り上がりやがって。」 いきなり、いつの間にか後ろにいた黒澤が声を掛けてきた。 「黒澤…!?何でここにいるの!?」 「あれ?私、言わなかったっけ?黒澤刑事と一緒に来たんだけど…。」 奈々子…!!面倒臭いのを連れて来やがって!! 「お久しぶりです、黒澤刑事…、我が件の館に何の御用ですかな?」 「片桐の帰りが遅かったんで、様子を見に来ただけだ…。」 「では、片桐さんを連れて今すぐお引取りを。 ここは貴方のような粗暴な方の入っていい場所ではありません。」 あわわわ…!!早くも火花散っちゃってるじゃん!! 「く、黒澤!!早く出よう!?アンタに面白い事なんて何も無いって!!」 とりあえず、こいつを追い出さないと…!! 何気なく、ここにある本なんか手に取られたらまた話しがややこしく…、 「ねぇ、件さん!!ここにある本って全部こんな内容なんですか~!?」 「…?どういう意味だ、片桐…。」 …奈々子、話題を逸らすならもう少し空気読んで欲しかったよ。 「“殺人事件”…、ここにある本は全部…、推理小説か?」 了
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