思いを閉じ込めて

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そして、私が二人で話したかった理由。その本題へ。 なるべく怪しまれないようにいつもと何ら変わらない態度で話しかける… 「翔太ってさぁ、モテるでしょっ?」 つもりだったのに、自然と上がる声のトーンと大きさ。 緊張するよ…! 「…そ。めっちゃモテる」 翔太は一瞬固まったように見えたけど、その視線はテレビに向けられたままにやりと笑って言った。 …私のことなんて、興味ないんだ。 いくら私がこんな質問をしても。 しかも、やっぱり予想通り。モテるんだ。 そりゃそうだよね。私から見ても翔太はかっこいい。 かっこいいって言っても、顔がどうとかじゃない。だって顔は真ん中くらい…かな。 顔じゃなくて、性格がかっこいい。 面白くてめんどくさがり。けど……なんだか同世代の男の子にはない優しさがあるんだ。 もちろんいつもは、さっきみたいに意地悪な時がほとんど。 でも悪気は感じられなくてどこか憎めない。 翔太は…純粋なんだ。 だから、子供みたいに純粋な意地悪をする。 私は、こんなにかっこよくて、意地悪で………優しいのは。 翔太以上に居ないって思ってる。
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