思いを閉じ込めて

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「あ~、遅れる!待って母さん!」 「早くしなさい~!」 朝。 早く起きたはずなのに、なぜかもう出発の時刻。階段をを駆け降りて、こけそうになりながらも慌てて車に乗り込んだ。 馬鹿らしいけど、私が遅れた理由を聞いたら、女の子はきっと私に共感できると思う! 恋する女の子なら! 「全く…。服なんかで悩むから悪いのよ」 「うっ…」 「バカだなぁ、お前」 「いっつもださいあんたに言われたくないわ!」 横から私たちの会話に入ってきた兄ちゃん…公司(私はこうちゃんって呼んでるけど)に突っ込む私。 だって、ださい人にださいって言われたくないでしょ? それに……むかつくんだもん! 「なんで服で時間かかんだよ、お前。テキトーに選んで着ればいーだろ。 ってか、いつもそうしてたろ?"服なんか着れればいいー"って」 「う……。まあ…そりゃそうだけどさぁ…」 こうちゃんの言ってることは、認めたくないけど!……当たってる。 いつもは服に興味ない私。どうでもいい、めんどくさいって言って。 でも、好きな人に会う時って意識しちゃうじゃん。いくらいつもおしゃれしてなくても……さ。 だって、今日から春休み。いとこに会える特別なお休み。 土日なんかとは全然違って……。 一年のなかで三回ぐらいしかない、私の一番楽しみな期間。 ねぇ、早く会いたいよ……。
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