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「あのぉ。」
管理会社に電話をかけた。
『はい。』
「里村 勲(サトムラ イサム)で。」
『分かりました。では明日の12時から密着観察をして下さい。』
「あ。質問なんですけど観察相手は何故嫌がらないんですか?」
電話を受けていた人が黙る。
『大金です。大金が出るんです。』
それだけを言った後電話を切られた。
大金・・・。
所詮人間は欲望まみれか。
私は制服の水色のシャツにアイロンをかけた。
「明日は久々に学校か。」
夏も終わりかけなのにまだ蝉が近くで五月蝿く鳴いている。
暑い。
普段ならきっと眉間にシワが寄るほど不機嫌だろう。
だけど今日の私は何故か上機嫌だ。
里村 勲。
先生には散々嫌がらせされましたもんね。
鏡を見ると私は悪人の様な顔で笑っていた。
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