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五稜郭の出口まで土方は送りに来た。
少し背の伸びた十六の少年市村は、まだ見上げねばならぬ程の土方を見上げた。
すると、軽く抱き締められ
「また、いつか、きっと会えるさ」
独り言のように、さる方は言った。
少年は流れそうになった涙をこらえ
「はい」
と震えた声で言った。
そして少年は歩きだした。
振り返れば、まだこちらを見ている。
市村は涙をこぼした。
それは花を散らす様に。
日野に着き手紙を開いても市村は泣かずに居られなかった。
そして現在にいたる。
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