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静かに目を閉じ、そのまま眠った。
夢を見た。懐かしい夢。
珍しく、穏やかな朝の事だった。目を覚ませば隣で眠る愛しい人がいた。
少年は微笑んで起き上がった。それから障子を開けると、朝日がさした。
すると切れの長い瞳を、眩しそうに開け
「…もう朝かね。」
気だるそうに口を開く。
市村は少し寒そうにしながら
「御早う御座います。隊長。」
と嬉しそうに言った。土方は、それに応える様に少年の隣に来て顔を見ずに頭を撫でて
「ほら鉄くん、名残雪だ。朝日が雪に反射して煌めいている」
外に指をさして風情(ふぜい)を楽しんでいる。
市村は顔を上げて、土方の顔を見た。
指さす先の雪より、隣の横顔に見とれていた。
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