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「……はぁ」
ユサはそんな俺の挙動に嘆息する。
いや、あの、そんな残念な物を見るような目で見ないで下さい……
「……アンタは入試で学年一位。納得いかなくても、こんなヤツでも学年一位って現実は揺らぎない。……つまりこんなヤツでも成績首位のアンタ、そしてそれに次ぐアタシが選ばれたってわけ。……分かった?」
うんざり、という調子で要点のみを絞った解説。
こんなヤツ、という部分だけアクセントが、それも二回言われた気がするが気のせいだろう。
「……まぁ、そういやスピーチの構文に読み上げ依頼されてたっけ。……面倒だから断ったけど」
つまるところ初対面である俺へのこの傍若無人っぷりは、そこが原因なのだろう。
一位の尻拭いをさせられる二位。
……これは確かに怒りたくもなる。
今更ながら申し訳ない気持ちになってくる。
「……ま、良いけどね」
ユサは不適な笑みを浮かべる。
マンガやアニメで言うところの笑いながら青筋を浮かべている、そんな表情。
正直怖い。
「……ほっ、ほら! 打ち合わせ的なの始めるんだろ! 早いとこ飯食うぞっ!」
若干どもりつつ、何とか話題を戻す。
「むぅ……」
そんな俺を不服そうに半眼で見つめるユサ。
やめろ興奮するじゃねぇか。
――そんな愉快な一時を終え、何故か食事を共にすると俺達は打ち合わせ的なことを始めるのだった。
薄いまどろみの中、思いつきかけていたこと。
この時にはその全てを忘れ去ってしまっていた。
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