プロローグ

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決して比喩などではない。 文字通り"消えた"、のだ。 「っ……」 苛立ちに舌打ち、髪を掻き毟る。 これだ。 これが、この現象を奇怪と定義する所以。 ここ最近からの悩みの種。 幸い一度も危害を加えられてはいないが、そもそもこの国、世界規模に鑑みてもイレギュラーな事象。 いつ、どんな形で害を被っても不思議ではない。 「……」 俺は人形の消えた空間を見つめ、人気のないこの路地裏でただただ立ち尽くした。
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