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その返信内容にげんなりしつつ、なんとか食い下がる。
【YA☆ME☆RO そしてフリーの自宅警備員じゃねーっちゅーに!】
【? ではどちらの警備会社にお勤めで?】
【だから俺もお前と同じ学生だっつーの!w】
そんなやりとりを一通り終えて。
【というわけで、今日は登校時間が早まるからもう落ちる!】
激論の末、ようやく解放されそうな雰囲気になる。
【んー。やっぱ似たようなトコに住んでるんだねー。】
……?
【WHY?】
意味深な発言に、無難な返し。
登校時間が早まる、という情報からその返答ということは、少なくとも同じく首都圏外在住であることは確かだろう。
【いや、ウチの高校も田舎だから試験的に授業時間繰り上げて帰り道の防犯対策するみたい。・・・この前のローカルネタからして、やっぱ案外近くに住んでるんじゃない?(笑)】
ローカルネタが通じる時点で同じ県に住んでいるのでは、とは思っていたが、まさかサマータイム紛いの制度が同日に実施するとは……
【だなwもし近かったらぼちぼちオフろうぜ( ̄▽ ̄)b……きさまがネカマではなかったらな!】
打ってから、自分の文章が出会いたがり系男子特有のものになっていることに気が付く。
……まぁ、いいか。
かれこれ二、三年の付き合いだ。
"結婚"の話もちらほらと浮上しているし、頃合いといえば頃合いなのかも知れない。
【だからネカマちゃうわ!(笑)・・・ま、ぼちぼちね。五月病ヤバいから暫くはヤダ┐('~`;)┌】
何やら流された気もするが、これには概ね同意だ。
【五月病はガチw 奴らはいつだって気力という気力を奪っていく!w ……んじゃま、落ちるっす/(^o^)\また明日ーノシ】
【(アナタノバアイイツモデスガネ┐('~`;)┌)。じゃなー(^o^)ノシ】
そう発言してから少し経ち、チャット相手――"カルア"は今回のGWイベントの戦利品である雛人形装束を揺らしながら、フィールドアクション"手を振る"をする。
程なくして雛人形装束のアバターに光が纏われ、"logout"の文字が表示される。
それを確認すると、ゆっくり息を吐く。
流石に疲れた。
「ふー……」
パソコン横に置いた口の開いた2Lコーラのボトル。
上の辺りの窪みを適当に掴むと、一息に飲み干す。
強い炭酸に咳き込みそうになるのをなんとか堪え、視線をパソコンのディスプレイへ向けた。
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