陽炎の奥。

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『すいません・・・』 なんの言葉も見つからず飛び出すのはそんな台詞。 『まったく、授業には集中しろよ?もうじき高校生なんだからな。――っと』 教師のつま先が机の足に当たる。 そして、その揺れで花瓶が倒れ、菊の花が床に散らばり、 水がこぼれた。 クシャ・・・   教師が菊の花を踏み潰していた。 『あ~ぁ。これ卸したばっかなのに・・・。まぁいっか。おぃ神田。授業の事は許してやるから捨てとけ―――このゴミ。』 『――っ!?』   何も聞こえなかったと思えた。 あまりに冷酷で あまりに残酷な言葉が俺の耳に侵入し脳ミソをズタズタに刻んだ。  
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