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だいたいあいつは俺のありがたみをわかっていないんだ。
誰のおかげで飯が食えると思っているのか。
目の下にクマを作りながら身を粉にして働いているのに、浮気を疑うなんてどうかしてる。
まったく腹が立つ。
そこまで考えて、エム氏はかぶりを振った。
いかんいかん、今は大事な時期だ。契約をまとめるまでは、家庭内のごたごたに振り回されるわけにはいかない。
だから、忙しい合間を縫って、医者にかかり、薬を貰いにきたのだ。
まったく便利な時代になったものだ。一昔前は離婚率が50%を超えていたのだが、惚れ薬が市販されるようになってからは一桁まで落ちたそうだ。
早く薬を貰って、すっきりさせよう。
エム氏はそう考えなおす。
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